京都競馬場 場内散歩 パドックと記念碑編
京都競馬場には記念碑がぽつぽつ建っています。
中山競馬場のヒダキン、東京競馬場の芸術家の作品、関東の主要競馬場にも記念碑のようなものはありますが、それらと趣は全く異なります。
京都で活躍した競走馬の記念碑です。
記念碑の前で目を閉じ、ここに標されている競走馬の現役時代の走りを思い出すと、胸が熱くなってきます。
京都競馬場伝統の丸パドックです。
この日はパークウインズですからパドックに馬は当然いないのですが、先ほどまで往年の名馬がここを周回していたと、つい錯覚してしまいます。
京都競馬場は馬の競演を90年も続けてきた舞台です。人の一生に相当する長さで見れば、ここ2,3年の出来事なんて昨日の出来事のようです。
不思議なもので、馬が周っていないパドック、三冠馬誕生からすっかり改修されたスタンドの近くを歩くだけで当時の熱気を感じます。当時の競馬ファンが熱狂したレースの余熱だと思います。
私の頭の中に残っている最古の天皇賞春。1992年4月26日天皇賞春を簡単に振り返りたいと思います。
この年の天皇賞は現役最強クラスと言われた2頭が初めて直接対決するレースでした。
現役最強クラスの1頭は、阪神大賞典を貫録勝ちして天皇賞連覇を目論むディフェンディングチャンピオンであるメジロマックイーンです。
メジロマックイーンは、長丁場のマックの馬券は鉄板より堅い、といっても過言でない絶対的な安定感を誇っていました。そして鞍上に迎えたのは平成の盾男と呼ばれる武豊でした。ファンからは当然支持され、単勝オッズは2.2倍でしたが、1番人気ではありませんました。
この天皇賞春で1番人気に支持されたのは、皇帝シンボリルドルフの仔で無敗の二冠馬トウカイテイオーで、単勝オッズは1.5倍でした。
トウカイテイオーは、骨折による長期休養明けの大阪杯をほぼ持ったままの走りで快勝して淀に乗り込んできた無敗馬で、鞍上は数々の実力馬をG1優勝へ導いた名手岡部幸雄です。
偉大なる父に並ぶには春の盾は絶対に欲しいターフの貴公子トウカイテイオー。そして我が縄張りで好き勝手はさせられない。春の盾は絶対に渡せないメジロマックイーン。
空前絶後の一騎打ちムードとなった天皇賞春は、意外にも2周目の坂の下りであっさりと勝負がつきました。残り800mメートルからのペースアップにトウカイテイオーはスタミナを削がれ、4角で余力を失い脱落。最後まで脚色が衰えなかったメジロマックイーンに軍配が上がりました。
京都競馬場へ来たら拝んでいく人が多いと言われる馬頭観音。
テンポイントの日経新春杯など京都競馬場は人気馬の悲劇の舞台になることも少なくありません。
画像にある日本庭園の奥にもファンに感動を与えてくれた名馬の走りを称える記念碑が建てられています。
どの馬か分かりますか?
関東の刺客。ライスシャワー。
ライスシャワーはゴールの瞬間よりも、ミホノブルボンやメジロマックイーンを交わす瞬間が印象に残る馬でした。ライバル馬と交錯する瞬間を捉えて、関東の刺客と形容されたのかもしれません。
そしてメジロマックイーンを降した後の長いスランプが、ライスシャワーをドラマチックな馬たらしめたと思います。詳細は割愛しますが、現在では中々見られない劇的なエピソードです。
安らかに眠ってください。
こじんまりですが、牝馬三冠を達成したスティルインラブ号の記念碑もあります。
スティルインラブは幸英明騎手を所謂「買えるジョッキー」に格上げさせた馬ではないでしょうか。
京都競馬場は三冠レースの最後となる舞台なので、必然的に大記録達成の場所になります。みなさんも歴史の立会人になりませんか?